昨日は本屋に忙しくていけなかったので、
昨日の発売の分も合わせて新刊5冊まとめ買い。
その5冊の中の1冊が「おおきく振りかぶって」6巻。
アフタヌーン本誌で読んでいるとはいえ、
続けて読むとさらに面白さが増します。
(アフタヌーンまで買うようになったら
部屋が酷くなりすぎるので貰って済ましています)
この「おおきく振りかぶって」を読んでいて
ふと思い出したのが、少し前に読んだ娃鳥さんの
アイシールド21に対するこの言葉。
(引用の際に、こちらで改行を挿入しています)
>この作品は話の進行がとても早く、必要と思われる部分を強調し、
>そうでない部分を思いきりよくカットすることによって
>盛りあがるべき場面は盛りあがるというメリハリのある作りに
>なっています、よね。これは凄い長所だと思う。
>しかし、それによってその状況におけるサブキャラの
>反応などが描かれず、かなり物足りないことにもなっています。
>団体競技なのにチームメイトとの横の繋がりが薄いとか、
>指摘されがちのようです
http://lowtemperature.fc2web.com/(3月09日分です)
「おおきく振りかぶって」では、試合の描写に加え
選手の心の動きなどをかなり丁寧に描いています。
そのせいで試合の進みが非常に遅くなっており
素晴らしい内容だとは思うのですが、
その点だけが弱点になっていると思っています。
対して「アイシールド21」では、
選手の心の動きや回想などを極力少なくし、
試合の描写を中心に据え、試合のテンポを優先した
描写になっています。
この違いの要因の1つとして、原作・作画が別作業かどうか
という理由が有るのでは?と、個人的に推測しています。
全てを1人でやる場合、付け足したい事が出来たときに、
それが容易に出来てしまい、ボリュームが膨らみがちになり、
ややテンポが失われてしまいます。
(スポーツではないですがワンピも最近そんな感じですね)
対して原作・作画が別の場合、
ある程度の完成形を原作者が作ってしまいます。
そして原作者は、基本的には話の流れ以外の部分には
それほど触れていないように感じられます。
(ヒカ碁なんかも、あまり各キャラを掘り下げた
描写は多くないように感じられました。)
ですから「おお振り」に対しては「進みが遅い」と
いう意見も出てきてしまいますし、
(6巻でまだ2試合目、しかも県大会初戦です、まだ)
「アイシー」に対しては、キャラの掘り下げが
あまり為されていないと言われる事も理解できます。
スポーツ漫画において、試合のテンポと
キャラなどの掘り下げという2つの要素を
両立させるのはほぼ不可能です。
アイシールドはなじみの薄い題材だからこそ、
試合のシーンを大事にして、
アメフトの魅力を中心に描いています。
しかしなじみが薄いがゆえに、難しい戦術などを続けざまに
出さないように工夫もされています。
対して「おお振り」では、良く知られている題材ですから、
その点の説明が要りません。
説明の分を人物への描写にも割く事ができますし、
より深い戦術描写もそれほど人を選ばずに描く事が出来ます。
それぞれの作品が、それぞれのスポーツの特性に合った
表現方法を取っています。
そして、2つの作品それぞれの表現方法ともに
僕は有りだと思っています。
作品の作り方へのアプローチが違う2作ですが、
どちらにも共通しているのが、
対象としているスポーツが好き、
という感情が作品からガンガン伝わってくる点。
実はこれが面白さの一番の素なのかも。