Weekly Web Wave デイリー版さんのアニメアイシーのエントリにて
>とりあえず、コータローの蹴ったボールを、
>地面に着く前に武蔵が蹴った、というのは、
>現実にやっても良いのか悪いのか。
と書いてあったので勝手に説明してみようと思います。
急いで書いたので、ちゃんと推敲していません。
判りにくい描写などが有れば、
指摘してくださるとありがたいです。
まず、状況の確認。
盤戸のキックオフは、スパイダーズウェブの為の
オンサイドキックでした。
そのボールを事もあろうに武蔵が『意図的に』蹴り返しました。
結果、ボールは盤戸陣の奥深くまで飛んでいった……
というのが、昨日のアニメで放送された問題のプレイです。
アメフトでは、ボールをキックする事は
相手に攻撃権を与えることと同義です。
パントやFGの際には、蹴った瞬間に攻撃権が失われるため
どちらのチームの選手がボールを確保しても、
キック側に攻撃権が残る事はありません。
(パントの場合は例外として、ボールをキャッチする
リターン側の選手がボールに触れてしまうと
キック側に攻撃権が発生する事があります
これは後で重要になるので覚えておいて下さい。)
次にキックオフの場合、蹴られたボールはフリーボール、
つまりどちらのチームが取っても構わない事になっています。
しかし、ちょこんと蹴ったら……
100%キック側が確保できてしまうこととなります。
それを防ぐために制約が課されており、
「キック側はボールが10ヤード進んでからでないと触れない」
というルールで、「ちょこんとキックして確保」を防いでいます。
さて、ここからが問題の指摘です。
キックオフ・FG・パントでのキック時以外には、
ボールを故意に蹴ってしまうと
『イリーガルキック』の反則となります。
アニメでのプレイでは、盤戸が15ヤード進んで
キックオフのやり直しとなるはずです。
何が原因でトンデモプレイ描写になったのか?
武蔵が蹴った事によって、盤戸に攻撃権が移り
しかもボールを押し戻した……という事は
アニメスタッフは、キックオフされたボールを蹴り返した事を
パントと認識していた、となります。
これはパントキックがどのような時に蹴られるのか
全く理解していなかったと言わざるを得ません。
パントと言うのは、攻撃権を放棄する代わりに
ボールを蹴って押し戻す行為です。
攻撃が4回しか出来ない事はご存知かと思われます。
4回目の攻撃の際に1st downの獲得に失敗してしまうと、
その場で攻撃権が入れ替わってしまう……
それならば、攻撃権を1回犠牲にしてでも
ボールを自陣からより遠ざける方が得策、
というのがパントキックの持つ意味です。
しかしキックオフの時は上の説明を見ても分かる通り、
どちらのチームにも攻撃権は属していません。
それ以前にキックオフのプレイは、通常の攻撃とは
異なったプレイですから、攻撃権自体が存在していません。
ですからパントキック自体が蹴れるわけがないのですけどね。
パントと勘違いしていると断定できるのは、
武蔵が蹴った後の盤戸側の反応でも確認できます。
パントキックは、リターンチームの選手が触れてしまうと
キック側にも攻撃権を確保できるチャンスが生まれます。
ですからキャッチできなかった時には無理には拾おうとせず、
ボールが止まるまで放置するのが基本です。
アニメでもそのような描写が有ったという事は、
パントと勘違いしているって事が確定です。
しかし、アイキャッチの「アメフトクリニック」で
キックがどのような時に使われるのか?という質問をしておいて、
その答えと矛盾したプレイをするのが意味不明です。
脚本家はそんなの見てから書くわけではないからでしょうけど、
アメフトの事を知らずによく脚本を書けるよな。
それでプロとして生活できるのか……羨ましいわ。