パリ~ルーベ 【259.5km】
コースマップ
今回で105回目となる伝統のパリ~ルーベ、
ほぼ260kmという距離に加え、パヴェ(石畳)が全部で28箇所、
長い所では4kmのパヴェがあり選手達に多大な負担を与えます。
放送開始のタイミングで別府史之選手の
落車シーンが映し出されました。
しかしその後集団に復帰し、先頭を引くシーンも見られました。
凄いなぁ……。
レースの方は120km過ぎという事で、
まだゴールまでの距離は半分以上残っている状態。
30人が逃げ集団を形成し、約5分差で集団が追っていました。
放送開始後間もなく第22パヴェに突入。
パヴェ数はカウントダウン方式なので
第22パヴェは7番目の石畳となります。
パヴェに入ると、それまではほとんど動きが無かった選手の体が
激しく上下に揺さぶられているのが画面を通しても分かります。
コースが平坦基調なので、登り距離や斜度の表示は無いのですが、
パヴェの区間の長さと難易度が表示されるという点から、
他のレースとは違ったユニークさを感じる事が出来ます。
しかし石畳区間ではトラブルが続出……
石畳区間1回あたりでパンクやトラブルの修理映像が
5人は映し出されていました。
グラブシュが石畳区間で逃げ集団から抜け出し、
少しずつタイム差を広げて行きます。
そして最初の山場である第18パヴェ、
アーレンベルグ(2400m 難易度5)に突入。
グラブシュが突入後約2分後に20人強の追走集団が突入。
そしてグラブシュから3分以上遅れて、
優勝候補が多数属する集団が突入。
このアーレンベルグではトラブルが続発。
中でもパンクを修理する選手を避けた動きを発端として発生した
大集団で起きたクラッシュは10人近くが巻き込まれ、
ディフェンディングチャンピオンのカンチェラーラも
このトラブルに巻き込まれてしまいました。
別府史之選手もこの事故に巻き込まれたエースに車輪を渡すという
アシストとしての仕事も映し出されました。
しかしTTスペシャリストのカンチェラーラは、
なんとか先頭集団に戻ったものの
体にダメージを受けた上に、体力も奪われました。
第16パヴェを前にグラブシュが追走集団に吸収されて
入れ替わりにコップ、ファンインプ、ポラックがが先行します。
残り50km地点まで逃げは続き、後続とは約1分差をつけます。
さらに逃げ3人に置いていかれた追走集団に、
大集団からミカエルセン、フレチャ、ルークマンスが追いつき、
さらに有力どころも続々と合流、逆に脱落する者も出始め、
編成がめまぐるしく変化していきます。
逃げ2人、追走8人、大集団という編成となった225km付近で、
大集団からウェーゼマンとオグレディが抜け出し、
追走集団へと追いつきました。
優勝候補のカンチェラーラは落車の影響が大きいのか
ペースが上がらず集団に沈みます。
トム・ボーネンは必至に追い上げを図りますが、
先頭との差はなかなか縮まりません。
第6~第3のパヴェ、難易度4・4・4・5と続く最大の難所へ突入。
残り25kmで前から落ちてきたポラックが追走集団に吸収。
そしてウェーゼマンとオグレディもこの追走集団に追いついてきました。
第5パヴェの手前で先行していた2人も追走集団に追いつかれ、
カウンターでオグレディがアタックを仕掛けます。
このアタックに他の選手達は反応できず、
そのまま差を広げられてしまいます。
残り20km手前にして、先行するオグレディは
フレチャが属する集団に25秒差、
ボーネンが属する集団に1分差をつけると、
第5パヴェ通過後には、後方との2集団との差は
51秒・1分35秒にまで差を広げます。
追走集団も4人に絞られ、フレチャ、ルークマンス、
ペティート、ウェーゼマンが必至に追いかけますが、
厳しいパヴェでは人数の差が生まれにくく、
オグレディとのタイム差がほとんど詰まっていきません。
タイム差が変わらないまま残り2kmを目前にして、
後方集団とのタイム差は1分以上。
最後のパヴェを前にしてオグレディは勝利を確信
小さなガッツポーズを見せました。
そして……最後のトラック「ペロドローム」へ突入。
競技場の観客から大喝采を受けたオグレディは、
何度も何度もガッツポールを見せ、
天に拳を突き上げながらゴールラインを通過。
オグレディがまんまと逃げ切りに成功し、
オーストラリア人としても初優勝を飾りました。
良いポジションに居続けながらも、
最後にオグレディの逃げを許してしまったフレチャが2位。
オグレディとともに素晴らしい追い上げを見せた
ウェーゼマンが3位に入りました。
ゴール後、オグレディの元にチームメイトの
カンチェラーラ、ミカエルセンが祝福に来たシーンは、
胸にこみ上げてくるものがありました。
総合成績
1位 6時間09分07秒 スチュワート・オグレディ(CSC)
2位 52秒送れ ファンアントニオ・フレチャ(RAB)
3位 52秒送れ ステファン・ウェーズマン(WIE)
全選手成績
全選手の成績を見てみたら、完走者が96人しかいませんでした。
別府選手もアシストだったので途中でリタイヤしていました。
「北の地獄」と呼ばれる所以が分かったとんでもないレースでした。
ツールでは勝負のアクセントである石畳が
主役になっていたパリ~ルーべ……
石畳が生み出すドラマに酔いしれてしまいました。
とても面白いレースでした。