Paris - Roubaix【259.5km】
コース図
http://www.letour.fr/2008/PRX/COURSE/us/le_parcours.html
高低差はほとんど無いものの、
悪路というレベルを超えている数々の石畳(パヴェ)が
選手を苦しめるのがこのParis - Roubaix。
上のコース図に書かれている数字がパヴェのポイント
全28セクター、走行距離の約20%にあたる52.7kmのパヴェを乗り越える
「北の地獄」と呼ばれる歴史あるレースです。
実況は谷口広明さん、解説は栗村修さん、永井孝樹さん。
放送開始時点では、逃げていた3人が133km地点付近を走行中。
大集団とは約5分差がついていました
逃げていた3人はプロンク、クイクス、セロフと
全員がコンチネンタルプロのチーム。
判りやすいレース展開です。
しかしコースはほぼ中間地点まで進んでいますが
パヴェはまだ22個も残っており勝負所はまだまだ先です。
逃げ集団と大集団のタイム差が大きく変わらないまま
レースは進んでいきましたが、動きがあったのはセクター19の前。
この先に待ち構えているセクター19・18・17のパヴェは
難易度4・5・4という前半の難関パヴェ。
そのパヴェになるべく前で進入したい選手たちは、
位置取り争いでペースアップ。
そんな中、セクター18のダーレンベルグを前に
大集団内で落車が発生。
ポッツァート、フレチャといった
優勝候補の選手が巻き込まれて遅れを取りました。
優勝候補の2人にとっては余計な脚を使わされる事となるので、
いきなり厳しい状況を迎えてしまいました。
優勝候補の2人が遅れたのを知ってか大集団はペースアップし
セクター18のダーレンベルグ(2400m 難易度5)に突入。
石畳による振動で、ボトルが飛び出す位の激しさ。
わだちが走れないので集団は一気に縦長に。
今年はパヴェ区間で大きな事故は起きませんでしたが、
集団はペースが速いまま通過し縦長に。
逃げ3人と集団とのタイム差も、一気に1分台まで詰まってきました。
落車で遅れた優勝候補2人は大集団から1分後方、
集団がペースを落とさないのでどんどん足を使わされています。
最長のパヴェであるセクター16ワンディニ(3700m 難易度3)で
逃げ3人のうちセロフが大集団に吸収。
さらにワンディニの出口では逃げ集団にいたクイクスが
パンク修理の為に集団に抜かれ、逃げはプロンク単独に。
タイム差は約30秒と、プロンクも射程圏内に捉えられています。
そしてセクター15のブリリョン(2400m 難易度3)で
単騎で逃げていたプロンクも集団に吸収。
セクター14を終えた後の補給地点付近で、
遅れていたフレチャ、ポッツァートもようやく大集団に合流。
この時点で大集団は50人前後まで膨らみました。
セクター12の直前でユーンクイストが集団から抜け出すと、
これをキッカケに集団が再び活性化しはじめます。
さらには落車が発生し集団が割れる事もあり、
後方に位置していた選手は徐々に体力を削られていきます。
先頭付近に位置しているのは優勝候補を抱える
チームCSC、クイックステップ、サイレンスロットの3チーム。
そしてセクター11ベルシー(1200m 難易度2)で
ヴァンスーメレンが抜け出し、デヴォルデルがこれをチェック。
さらに選手が合流して8人の先頭集団が形成されました。
オグレディ、カンチェッラーラ、ボーネン、デヴォルデル、
ホステ、ヴァンスーメレン、バッラン、マースカントという
全員が優勝できる実力を持つ凄い集団に。
置いていかれたメンバーも、このまま8人を逃がしてしまうと
優勝の目が完全になくなってしまうので必死に追い上げていますが……
前の8人が強すぎる、これは。
セクター10モン・アン・ペヴェル(3000m 難易度5)では、
入ったところでデヴォルデルが前週よろしく抜け出しました。
残された7人からはパヴェが終わった所でオグレディが追走を開始、
一気にデヴォルデルに追いつき先頭2人、追走6人という状況に。
8人に置いていかれた集団は、なかなか差を詰められません。
セクター8ポン・ティボー(1400m 難易度3)で、
追走6人のグループ内でヴァンスーメレンがペースアップ。
同僚のホステの為に逃げる2人とのタイム差を縮めると、
仕事を終えたという感じで集団から脱落。
このペースアップで逃げ2人は追走集団に吸収、
ヴァンスーメレンが良い仕事を見せてくれました。
後続の集団とは1分30秒ほど、優勝争いはこの7人に絞られた感じ。
セクター7に入る前に先頭7人からボーネンがアタック、
カンチェッラーラ、バッランがチェックをして抜け出します。
置いていかれた4人で引ける選手がホステしかおらず、
抜け出した3人との差がグイグイと広がる結果に。
ここで集団に2人いたチームとそうでないチームとの差が出る事に。
自転車レースの戦略的な面白さが出たシーンでした。
先頭3人の中から、最初に仕掛けたのはカンチェッラーラ。
セクター4カルフール・ド・ラルブル(2100m 難易度5)で
アタックを仕掛けましたが、ボーネンに潰されてしまいます。
スプリント勝負ではボーネンに利があるので、
カンチェッラーラとしてはこのアタック失敗は痛い。
この後3人はトラブルも無く残りのパヴェを通過。
そのまま3人は牽制をしあったまま
最後の周回ゴールの舞台ヴェロドローム競技場へ入りました。
最終コーナー手前でボーネンがアタックして抜け出すと、
そのままゴールまで一気に押しきる完勝なスプリント。
ボーネンが05年以来の優勝を飾りました。
・総合成績
1位 5h 58m 42s トム・ボーネン(QSI)
2位 + 1s ファビアン・カンチェッラーラ(CSC)
3位 + 1s アレッサンドロ・バッラン(LAM)
http://www.letour.fr/2008/PRX/LIVE/us/100/classement/index.html