ニコニコ動画に関しての様々なデータを分析している方々が一堂に会し
その研究成果を発表する「ニコニコ動画のデータ分析研究発表会」が行われました。
本当は見に行こうと思っていたのですが、
仕事を入れられてしまったので泣く泣く断念し ustでの聴講となりましたが……
行かなかったのを損する内容の濃さでした。
今回発表された講演の資料はネットに文書としてアップされていますので
そちらを参照して見てください。
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それでは1つ1つの講演についての感想を。
とは言ってもじっくり考察するような感想を書けるわけではないので、
ざっくりと速報的な感想を並べてみます。
・「アイドルマスター データマスターSP」
毎日、アイドルマスタータグが付く動画数などを収集しており
動画作成者としても活躍するてってってー氏による
アイドルマスタータグの付く動画についての講演。
6万件に及ぶ動画のデータ取得方法の工夫や
その取得データの傾向などが語られました。
また作成者数や視聴者数の推定も行われていましたが、
少し勢いが落ちてきたとは言え、
アイドルマスターの裾野の広さと層の厚さが感じられる発表でした。
・「動画投稿数のトレンドからみるコミュニティのライフサイクル」
ニコニコ技術部で動画を作っているksasao氏による
動画投稿数とコミュニティの関連性に迫った講演。
祭りなどで盛り上がる動画が1か月程で収束している様子を
グラフとして示されていた点が興味深かった。
あとデータ的にも車載≒アイマスらしいという報告が。
やっぱりそうなのか……
・「χ2乗値を関連度としたニコニコ動画タグ関連ネットワークの解析」
大百科の中の人で有名なグニャラ君によるタイトルだけは難しい講演。
自ら「ジョーク枠」と言っていましたが、たまに笑いを交えつつも内容はいたって真面目。
あるタグと他のタグとの関連性をグラフ化し
「関連タグネットワーク」を可視化して見せた絵が秀逸。
動画数が上位1000件のタグしか使っていない限定的なものですが
それでも関連性が絵から見て取る事が出来て面白かった。
意外な関連性も発見できるのが良かったですね。
ここからはミニプレゼン(10分×5人)です
・「ニコニコ格差社会~自ニ係数という思いつき~」
日本野望の会 広木大地氏による自演ニコニコ係数、
略して「自二係数」についての講演。
ニコニコ初期には動画に自らコメを付けて演出する自演があったのですが、
IDなどから何人ぐらいがコメ投稿しているのかを推測したり
コメ率の考察など面白い話題でした。
ちょっと音割れしていたのと、資料が無いのが残念。
・「動画情報データベースの取得と公開(仮)」
こちらもデータ収集をしているAOI_CAT(わたなべしゅういち)氏の講演。
今まで収集したデータは1回で200MB超にもなっている模様。
このAOI_CAT氏のデータは、他の人に使われているのですが
データ収集の人が統計処理の専門家である必要は無いので
この当たりの分業が進むと、より深い考察が出来る用になるかも。
・「ニコニコ動画におけるタグ間の階層性の解析」
伊藤 聖修氏による動画についているタグを解析して関連性を考える講演。
今回はアイドルマスターを題材にしての発表でした。
1つの動画についている複数タグの繋がりを
深さ優先探索を用い、そして可視化。
タグ同士のつながりの面白さが感じられる発表でした。
講演が始まる際の掴みが酷かった事を追記しておきます。
・「ニコニコ動画におけるタグ別動画群の総再生数推定の方法について」
myrmecoleon氏による推定の方法論についての講演。
200万動画を超え、ジャンルごとでも全データを取得するのが
難しくなっているニコニコ動画において、
使える総再生数推定の方法論を提示しています。
単純だけど強力な方法ではありますね。
もう少し改良が出来るとさらに使えるものになりそうです。
・「ニコニコ動画のタグに関するアーキテクチャ分析:
folksonomyからfluxonomyへ」
濱野智史氏の発表はデータ関連ではない物でしたが、
タグについての面白い考察。
ニコニコ動画の混沌としたタグに注目。
張替え自由なニコ動のタグでは淘汰と収束の流れがあるのですが、
この流れが時系列的に見られる仕組みが有ったら
面白いなと講演を聴いていて思いました
濱野智史氏はこれを「fluxonomy」と名づけましたが、
名前が定着するかはさておき、面白い着眼点の講演でした。
最後に再び30分枠での講演です。
・「ニコニコ動画上の初音ミク動画間の引用関係を見てみた」
初音ミクの作品郡の引用についての濱崎雅弘氏の講演。
引用ネットワークから作者ネットワークを可視化しています。
資料では出てこなかったのですが、最後に出してきた
「s.o.c.i.a.r.i.u.m」を使ったコミュニティ構造の
可視化に目を奪われました。
これはどのジャンルの動画でも見てみたくなるな。
という事で、簡単ですが「ニコニコ動画のデータ分析研究」の
感想を書いてみました。
2回目があったら是非直接見に行ってみたいと思うぐらい
為になる濃密な時間を過ごせました。
直に会場の熱気を感じたかったですよ、本当に。