今年は積極的にFA補強をしているNEペイトリオッツですが、
今度はWRダンテ・ストールワースを獲得。
最近はこんなに激しい動きを見せなかったチームなのですが、
IND相手の敗戦がよほど堪えたのかな?
本気さが感じられる補強です。
しかもこの契約がまた秀逸。
6年3300万ドルというのはどう見ても払いすぎなのですが、
複雑な条件づけがされているので、
とんでもない大活躍が無い限りは1年360万ドル程度で済み、
さらに解雇してもデッドマネーがほとんど発生しないという
チーム側にとってはおいしい契約が結べたようです。
デッドマネーというのは、解雇したのにもかかわらず
その選手に関してサラリーキャップに計上せねばならないお金の事で、
ここ数年ではSFとTENが苦しめられていました。
(ともにだいぶ健全化しましたが)
サラリーには「スプレッド(広げる)」出来るものがあり、
このスプレッドの巧拙は、チーム作りに直接影響を与えます。
スプレッド出来るサラリーとして挙げられるのが「サインボーナス」。
必ず支払われるこのサインボーナスはスプレッドの対象です。
例えば5年2500万ドルの契約のうち1000万ドルがサインボーナスだとすると、
サインボーナス1000万ドルは契約年に支払われますが、
サラリーキャップの計算の際には均等分配されるので、
1年ごとに200万ドルで済みます。
選手にとってはお金をたんまり貰え、
チーム側としては計算上はサラリーを少なく見せられるという
良い事尽くめの方法……のように思えます。
しかしこの選手を早い段階で解雇する時が問題。
例えば1年目に活躍できず、2年目に解雇をしてしまうと
残っていたサインボーナス全部が2年目に計上されます。
その分、他の選手に給料が回せなくなり、
優秀な選手が流出したり、良い選手が取れなくなったり……
これがデッドマネーの怖い点です。
さらに、デッドマネーの為に他の選手を解雇し
さらにデッドマネーが発生するというデッドマネー連鎖は、
チームをあっという間に崩壊に導いていきます。
今回、ストールワース相手のサインボーナスは100万ドル。
この金額なら1年当たりでも17万ドル弱、
1年目の前に解雇しても100万ドルしか被害が無いので、
この点がチーム側にとって得な契約と言える所以です。
上のような例はほんの一例でして、
NFLの契約のシステムは恐ろしく複雑です。
でも分かってくると、チームと選手のせめぎ合いが感じ取る事が出来、
契約内容でも楽しめるようになってきました。
奥が深すぎて底が見えないよ、NFLは。
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