これまでの野球漫画とは違うアプローチで
「勝負」を前面に打ち出して描いていた「ONE OUTS」。
2巻の表紙折り返しではこんな事が書かれていました。
あらゆる野球漫画へのアンチテーゼとして
この作品はつくられています。
1つは、主人公のピッチャーが豪速球を投げないこと。
1つは、努力と根性が必ずしも勝利に結びつくとは限らないこと。
そして最も重要なことは、
主人公が悪党であること。
これだけでも今までの野球漫画と一線を画していることは
うかがい知る事ができると思いますが、
試合の内容を見てみるともっと異質です。
打つ側がアウトになりたがり、守る側が点を取られたがる試合。
100%ホームスチールを決めることが出来る
スプリンターを擁するチームとの試合。
様々な仕掛けが施された球場での騙し合い……
そしてこの19巻で完結となったのですが、
最後の仕掛けも見事なものでした。
プロ野球では「捨てゲーム」という言葉があり、
投手のローテーションの谷間などでは、
「負けても仕方が無い」という試合が出てきてしまいます。
その捨てゲームをここまで攻撃的に使う方法があったなんて……
漫画だからこそ出来たという意見もあるでしょうけど、
漫画だからこそ描ける面白い攻防なんです。
駆け引きが大好きな方なら、絶対面白いと言ってくれるはず。
ぜひ一度読んでいただきたい一押しの作品です。
集英社
甲斐谷 忍(著)
発売日:2006-10-19
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ランキング:2379
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