étape 16 Gourette - Col d’Aubisque【218.5 km】
コース図 コース断面図
距離が長い上に、超級・1級×2、そして超級の頂上ゴールと
山岳ステージの最後に相応しい難度の高いコースレイアウト。
この後、大幅にタイム差がつくのはここと個人TTだけなので、
総合争いをしている選手にとっては勝負がかかるステージ。
また山岳賞争いもここでほぼ決しそうです。
一時スペインに入るコースレイアウトなので、
スペイン選手達が動きを見せるはず、活躍に期待です。
今日の実況は白戸太朗さん、解説は今中大介さん、栗村修さん。
ヴィノクロフの事件があったからか、
実況・解説陣の声のトーンがやや沈みがちに聞こえました。
放送開始時点では、4人が逃げており50km地点付近を走行中。
集団とは7分半弱のタイム差が付いていました。
逃げている4人はガルシアアコスタ、ベルドゥーゴ、オジェ、リネロ、
総合に関係ない選手が揃っている為、大集団も逃げを容認している感じ。
大集団ではソレルに山岳賞ジャージを取らせる為に
バルロワールドがコントロール、
チーム一丸となっているのが見て取れます。
超級山岳Port de Larrauに入る頃には
逃げ4人と大集団とのタイム差は約9分まで拡大。
[標高1573m 標高差1186m 距離14.7km 平均勾配8.1%]
逃げの4人は協力して登っており大きな動きはありませんでしたが、
大集団の方ではソレルの仕掛けでペースアップ。
これで平地系の選手達が千切れ始めてきました。
さらにソレルは続けてアタックを仕掛け、
今度は抜け出しに成功しました。
この動きにまずはサストレ、チュルーカが乗ってきました。
さらにこの後パウリーニョ、ポポヴィッチ、マヨも追いつきましたが、
サストレの勢いのある引きに付いていけたのはサストレ、マヨのみ。
結局、追走集団は3人となりました。
逃げていた4人の中からも、山頂まで残り5kmを切った辺りで
オジェとリネロが脱落、これで先頭は2人に。
2人はそのまま山頂を通過、遅れた2人も追走を続けています。
追い上げてきた3人は、約3分遅れでソレルが先頭に立ち5位で通過、
これで山岳ポイント12点を加算し、暫定トップに立ちました。
4分40秒遅れで通過した大集団は、すでに30人程に絞られていました。
続いての3級山岳Alto Lazaでは大きな動きもなく通過。
大集団では遅れていた選手達が合流し、人数が増えています。
追走の3人はなかなか前2人との差を少しずつ詰めていき、
山頂の時点で2分半程度の差まで詰めてきました。
そして直後に逃げから遅れていた2人を吸収しました。
大集団はAlto Laza山頂を5分40秒遅れで通過。
一時は縮まり始めたタイム差が、また開き始めてきました。
この日は栗村さんのお話が絶好調。
山岳ポイントの指示を間違えたくないから
半疑問形で「山岳賞?」と選手に言うとか、
勝者がかわすキスの話で、同じ側に顔を動かしてしまうという
小さい頃の失敗話をするなど、面白い話がばっちり。
技術や戦術的な話も上手く、面白い話も出来る辺りが
解説者としての評価が高い理由なんでしょうけど。
この後、山岳間の繋ぎ区間で追走の5人が逃げの2人に追いつき、
先頭の集団が7人に、これでオーソドックスなレースの形となりました。
1級山岳Col de la Pierre-Saint-Martinの登りに突入。
[標高1760m 標高差720m 距離14.2km 平均勾配5.2%]
ここでペースを作っていたリネロがお役目御免で集団から落ち、
さらにオジェも登りでついていけなくなり脱落し、
これで逃げ集団は5人となります。
そして追う大集団は3分50秒ほどの遅れで登りに突入しました。
この登坂では逃げ集団では他に脱落者は出ず、5人のまま山頂を通過。
大集団との差は山頂通過の時点で約5分、
逃げの5人はここの登坂では頑張りを見せ差を広げました。
ソレルは1位通過で15ポイントを獲得し、
ポイントを得られなかったラスムッセンとの点差を広げ、
また山岳賞ジャージに一歩近づきました。
この後150km地点付近で、逃げから脱落したオジェ、リネロが大集団に吸収。
大集団はデッケルが1人で集団を引っ張り続けていましたが、
156km地点の補給地点で約5分の差があったものが
1級山岳Col de Marie-Blanqueの登坂口では3分半まで減少。
逃げのメンバーが強力な事を考えると
この状況で1人で1分30秒詰めたのは凄い事ですよ。
1級山岳Col de Marie-Blanqueへ突入。
[標高1035m 標高差686m 距離9.3km 平均勾配7.4%]
残り45kmで、献身的に引き続けていたデッケルが脱落。
ここからは山岳系のアシストとしてメンショフが前に立ち
ラスムッセンを引き始めました。
登坂の途中でガルシアアコスタが遅れ始め、逃げ集団は4人に。
大集団でも再び選手が絞られ始めてきました。
短い登りだった為、遅れかけたベルドゥーゴも
なんとか喰らいついて逃げグループにしがみついたまま山頂を通過。
ソレルはここでも1位通過し15ポイントを獲得、
この時点で山岳賞争いはラスムッセンとの一騎打ちとなりました。
追い上げる大集団は2分20秒ほどの差で山頂を通過。
人数は12人ほどまで減っていましたが、
総合上位争いをしているラスムッセン、コンタドール、エヴァンスと
そのアシストたちはしっかりと残っており、
最後の超級山岳の頂上ゴールで熱い戦いが繰り広げられそうな感じです。
逃げていた4人はタイム差を詰められながらも、
なんとか最後の超級山岳COL D'AUBISQUEの登り口に到着。
[標高1709m 標高差1161m 距離16.7km 平均勾配7.9%]
しかし、逃げから落ちたガルシアアコスタが追走集団を引き上げ
登り口の時点でタイム差は約40秒、
逃げ切りは厳しい状況となってきました。
登坂に入ってから追走の集団はさらにペースアップ、
逃げ4人から送れたベルドゥーゴをあっという間に吸収し
残りの3人に迫っていきます。
逃げていた3人ではサストレ、マヨの2人がペースを上げ、
この再アタックで再びタイム差を広げ始めます。
残されたソレルはイーブンペースで坂を登っていきましたが、
残り10km手前で追走集団に追いつかれます。
残り10kmの時点で逃げ2人と、追走との差は10秒強。
追走集団はラスムッセン、コンタドール、エヴァンスの総合上位3人と、
コンタドールのアシストであるライプハイマーとポポヴィッチの5人。
人数だけで言えばコンタドール有利です。
ライプハイマーがアタックを仕掛け、逃げていた2人を抜き去ると、
追走集団の残りの3人も逃げ2人を一気にパス。
これで先頭集団は総合上位4人が勢揃いとなりました。
4人になってから、コンタドール、ライプハイマーが
繰り返しアタックを仕掛けましたが、
ラスムッセンはペースを乱さず落ち着いて対処。
2対1と人的不利な状況にもかかわらず、
ラスムッセンが主導権を握っているように感じられます。
この後、総合4位のライプハイマーは一時遅れますが後に集団に復帰。
しかし3位のエヴァンスは残り5km手前で遅れてしまいました。
ラスムッセンは他の2人のアタックに対しても、
腰を上げずに対処と余裕が感じられる走り。
3人のまま残り1kmまで進んでいきましたが、
ラスムッセンの圧力で他の2人がアタックが出来ない
空気が漂っていました。
そして他の2人が少し遅れたのを見てラスムッセンがラストスパート。
そのままゴールまで一気に駆け上がっていきました。
2位ライプハイマーとは26秒差、3位コンタドールとは35秒差、
しかしこのタイム差以上の圧勝劇に感じられました。
総合トップをがっちり守ったラスムッセン、
これで総合優勝に大きく前進したのですが……
まさか翌日にとんでもない事が待ち受けているとは。
(前エントリ参照)
山岳賞はソレルがついに奪取、あとは追いつかれないように気をつけ
パリのゴールまで辿り着けばOKです。
ポイント賞のボーネンは変わらず、このステージも何とかこなしたので
明日以降の平坦ステージでポイント賞を確実なものにすべく
ライバル達との争いに競り勝たねばなりません。
新人賞はコンタドール、今日はやや遅れましたが
それでも新人扱いの選手としては素晴らしい成績です。
・étape 16 個人成績
1位 6h 23m 21s ミカエル・ラスムッセン(LAB)
2位 + 26s リーヴァイ・ライプハイマー(DSC)
3位 + 35s アルベルト・コンタドール(DSC)
・étape 16 終了時総合成績
1位 76h 15m 15s ミカエル・ラスムッセン(LAB)
2位 + 3m 10s アルベルト・コンタドール(DSC)
3位 + 5m 03s カデル・エヴァンス(PRL)
全選手個人成績 & ステージ成績 etc.(from J Sportsサイト)
3級×1、4級山岳×5と小さな起伏が多いものの、
基本的には平坦基調のコースレイアウト。
山岳で我慢していたスプリンター達が
久しぶりに活躍を見せてくれそうです。
étape 17 Pau - Castelsarrasin【188.5 km】
コース図 コース断面図
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